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悲観の中に生まれる

by 広木 隆

東京でも屈指の高級住宅街、千代田区一番町。英国大使館の裏に明治七年創業の村上開新堂がひっそりと佇む。頑丈な鋼鉄の玄関ドアとインターフォンが、登録・紹介客以外を招き入れないことを示している。昨日の夜はそこで業界関係の会食があった。奇をてらったところのない本格的なフレンチ。開業以来の定番、三種のパイや開新堂ゼリーも美味であった。

村上開新堂の本業は洋菓子店だ。昔ながらの手作りのクッキーが人気と聞いた。土産に買い求めようとすると、「生憎とお渡しできるのが先となりまして、今日のところはご予約のみ承ります」とのこと。「わかりました。近くなので、できたら取りにきます。来週か再来週くらいになりますか?」「いいえ、来年の2月になります。それまで先の予約の分でいっぱいでございます」
驚いた。クッキーを買うのに5カ月待つとは。何カ月も待っても買いたい、食べたいと思うお客が大勢いるのだ。

昨日の続き。先週末、日経平均がゴールデンクロスを達成した。13週と26週移動平均のゴールデンクロスはかなり信頼性の高い買いシグナル。しかし、足元の環境は、米国大統領選挙の行方、ドイツ銀行の経営不安、米国は果たして利上げできるのか、そして日銀の金融政策は有効に機能するのかといった不透明材料が多くリスク回避の円高が進んでいる。ドル円相場は100円割れ目前だ。こんな状況でのゴールデンクロス、買いシグナルだと言われても俄かには信じられない。

しかし、過去2回、2012年と2014年にゴールデンクロスが示現したあとは、いずれも大相場につながった。その時も相場環境は決して明るくなかったが、後で振り返ればそこが相場上昇の起点だった。昨日のブログでは、「2度あることは3度ある」、あるいはその逆で「3度目の正直」になって今回は不発に終わるか、どちらを信じるのもあなた次第と書いた。僕の一番お気に入りの言葉をここで追加しよう。「本当の強気相場は悲観の中に生まれる。」

果たして強気相場は到来するだろうか。今はまだ明るい先の見通しなど望むべくもないが、来年2月、村上開新堂のクッキーが焼き上がる頃には、きっと答えが出ているはずだ。

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広木 隆
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