LOG IN

クライマックス・シリーズ

by 広木 隆

子供のころから - 「大洋ホエールズ」といったころから - ベイスターズのファンである。湘南電車(東海道線)カラーの緑とオレンジのユニフォーム、かみそりシュートの平松、シピン、ミヤーンの外国人。ナイター照明の薄暗い川崎球場にしょっちゅう通った。スタジアムよりもっと薄暗いバックヤードで、父親にせがんで発砲スチロールの容器に入った肉うどんを買ってもらうのが楽しみだった。

横浜ベイスターズが初めてとなるクライマックス・シリーズに出場し、ジャイアンツ相手に初戦を飾った。注文をつけたいところはいくつもあったが、ベイスターズのファンとしたら満点に近い勝ち方をしたのではないか。キー・プレーヤーがそれぞれ持ち味を存分に発揮して勝った試合だからである。

初回に先制された後、3回に同点ホームランを放った梶谷。ボール球を弾丸ライナーでレフトスタンドに突き刺したロペス。しかし、なんと言っても勝負を決めたのは6回に逆転ツーランを打った4番・筒香だ。


硬球が、ぐしゃっと潰れるような、とてつもないスウィングだった。打った瞬間に「入る」とわかる一振りだった。観ていて身体が震えた。これぞ4番という存在感を見せつけた。TV解説の中畑だったか、江川だったか忘れたが、今日は4番打者の仕事で試合が決まると言っていた通りだ。巨人の阿部も打点に絡む仕事をしたが、「4番の華」という観点からは勝負にならない。筒香のホームランで勝ちを確信した。


ベイスターズの投手陣はジャイアンツの打線を良く抑えた。井納も立ち直ったし、山崎康は、坂本への失投はあったが結果を残した。最大のヤマ場は8回、ノーアウトで二塁走者を背負った田中のピッチングだ。長野にバントを命じて結果三振に終わるという敵失に助けられた面はあったが、続くギャレットへの配球が見事だった。緩いカーブ、速いスライダー、そしてストレート。捕手・戸柱の、ルーキーとは思えない好リードが冴えた。先発・井納のフォークも効果的だったし、今日の勝ちの隠れた立役者は戸柱ではないかと思う。

資産運用の話では「ホームマーケット・バイアス」なんてことを良く言うけれど、自分もどっぷりと「ホームマーケット・バイアス」に浸っている。野球はベイスターズ、サッカーは川崎フロンターレを応援している。前回、ベイスターズが優勝した1998年は、権藤監督のもと「マシンガン打線」が爆発しリーグ優勝の余勢を駆って38年ぶりに日本シリーズまで制した。あの時の、興奮を再び味わいたいものだ。ちなみに、この98年、夏の甲子園では松坂大輔がノーヒットノーラン達成で横浜高校が優勝、大学ラグビーは関東学院大学が2連覇達成、箱根駅伝では神奈川大学も勝って、まさに「神奈川・横浜」イヤーだった。

なぜここまで地元愛があるのか。ほかに愛情を向ける先がないから、という理由ではないと思うが...。
兎にも角にも、今日はめでたい。CS決勝に大手だ。今夜はおおいに飲むことにする。明日以降のことは明日以降にまた考える。日本全国100万人のベイスターズ・ファンとともに祝杯をあげよう。

LINE it!



広木 隆
OTHER SNAPS