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昨日の続きとPurple Haze 

by 広木 隆

自分はいったい何をしていたのだろうと思う。

ブログを始めて2か月あまり。たいしたものが書けていない。

このブログの初めてのエントリーでこう述べた。

僕の職業はストラテジストである。株式市場等の相場見通しを示し、投資戦略を提案するのがストラテジストの仕事だ。メディアで語ったりセミナーで講演したりすることも多いが、「主戦場」はレポートであり、書くことがメインの業務である。マーケットの分析以外にも幅広いテーマの評論や時事問題を扱ったコラムなどこれまで多くの書き物をしてきた。媒体も、書籍の出版、紙の新聞・雑誌、またはオンラインサイトへの寄稿、メールマガジン、ツイッターでの情報発信など多岐にわたる。僕も「もの書きの端くれ」であると言っても許されるのではないかと思う。

「もの書きのはしくれ」などと自分で言っておきながら、ブログは全然「書けて」いなかった。いや、これまでも「書けて」いたのかと問われれば自信はない。しかし、このブログに比べればまだ「まし」なものを書いていたように思える。

このブログ、「Dance with Market」のどこがダメか。それはPV(ページビュー)を気にしながら書いているところである。だから、自然とおもねるような感じが行間から滲むのだ。

無意識のうちに「媚びて」いる。ネットに、ネット空間の向こうにいる顔の見えない読者に。

Google アナリティクス でPVやユーザーを確認しながら書いている。既にたくさんの読者がいるストラテジーレポートにリンクを貼る。あちこちでブログの宣伝をする。「数字」を追っているのだ。

だからダメなんだと思う。文章にキレがない。ブログがつまらない。自分が読んで面白くないものは、ひとが読んでも面白いはずがない。

そんなふうに思っていた矢先、g.o.a.tの新しいレイアウト機能「Purple Haze」導入を伝えるこの記事を読んで頭をガツンと殴られたような衝撃を受けた。

数字を意識してブログを書くのは本質的ではない

数字を意識し過ぎて「こうやったら伸びるかな」などと邪な考えに縛られてほしくない、とKDDIウェブコミュニケーションズ代表取締役副社長の高畑哲平氏は語る。

今回の新レイアウトのプロモーションとして、Dragon Ashの新曲「光りの街」とコラボレーションビデオも制作した。Dragon Ashのボーカル、KJはSNSを使わないことで有名だが、その理由を彼はこう述べている。

そんなに第三者に自分の思っていることを提示したいとは思わないから。それが俺の場合は、作詞だったり音楽だったりする。よく言っているのが、音楽家じゃない人がブログを書くような感覚で俺は曲を書いているのかもしれない。こういうことがあったなと感じたことを閉じ込めるために曲にしてみたり、想いを忘れないために曲にしてみたりって感じかな。
KJ

ブログとはWeb Log の略、すなわちウェブ上に残すログ(記録)であり、日記のようなもの。それがブログの原点だろう。極めて個人的なものという要素がある。想いを忘れないために曲にするミュージシャンがいる。ならば想いを忘れないためにブログを書く書き手がいてもいい。

愚者は話したいから語る。賢者は話すべきことがあるから語る。
プラトン

僕がこのブログを始めたのだのは、なぜだったろう。ただ、自由に書きたかったからだ。会社や立場やしがらみや、そんなものから解き放たれて、自由に自分の「言葉」を大切にできる場所を求めていた。そんなとき、g.o.a.t に出逢い、僕はブログを始めたのだった。

プラトンの言葉に倣えば、愚者である。ただ語りたかっただけだ。話すべきことがあるわけではない。

それでいいと思う。愚者で結構だ。

そう言えば、昨日はオンラインセミナーで回答できなかった質問にブログで答えるという企画をしてみたが、とてもではないが全てに回答するのは無理で、また積み残してしまった。今日は、その中からひとつピックアップして答えよう。それが今日のタイトル「昨日の続き」という意味だ。

dddさん:BSジャパンで、週足がゴールデンクロスしたから大相場の予感がするなんて言ってるけど、アホかと思いました。こんな売買代金でどうやって大相場になるんだよ

僕の答えは、「アホで結構」。プラトンの言葉では愚者である。アホ=Fool は僕にとって最高の誉め言葉だ。

Stay hungry, stay foolish
スティーブ・ジョブズ

これから原点に立ち返って、語りたいことを好きなように語っていく。誰が読もうと、どんな批判が来ようと気にしない。アホだと言われても、自分の信じることを語る。明日も、地上波のテレビ東京で、ゴールデンクロスと大相場到来の話をするつもりだ。

ちなみに、売買代金が少ないというのは、前回ゴールデンクロスが示現した14年前半もそうだった。当時は1兆円前半がざらだった。もっと言えばその前のゴールデンクロスの12年秋などは1兆円に届かず、8千億円なんて日があった。当然である。商いが盛り上がるのは相場が上がってからだ。逆に言えば、カラカラに乾いた状態だから一度火がつけば燃え上がる勢いが激しくなるのである。

今、ジミヘンを大音量でかけながらこれを書いている。″Purple Haze!"とシャウトしながら。

好きなことを好きなように書いていく。どこへ転がっていくかはわからない。それでも転がっていく石に苔は生えない。欧米のことわざで、「転石苔を生さず」は日本と逆で、良い意味だ。

僕も、Like A Rolling Stone でいきたい。How does it feel? と訊かれたら、Not too bad と答えるさ。



広木 隆
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