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ジャパンカップよりアメリカ株

by 広木 隆

ジャパンカップが明日、東京競馬場で開催される。G1レースの中でも最上級格の国際レースである。「世界に通用する強い馬作り」を目指し、外国から強豪馬を招待して我が国のサラブレッドと競わせようという趣旨により1981年に創設された。今年で第36回を数える。創設当初の10年間は、外国招待馬の8勝に対し、日本馬は1984年のカツラギエースと翌1985年のシンボリルドルフの2勝のみ。海外の強豪馬の後塵を拝していたが、過去10年では日本馬9勝に対し、外国招待馬1勝と形勢が逆転している。日本馬のレベルアップももちろんその要因ながら、海外から一線級馬の参戦がほとんどないことが大きな理由だ。その意味では近年のジャパンカップは創設当時の趣旨をまっとうしているとはいいがたい。

それでも冒頭述べた通り、ジャパンカップはJRAのG1レースの中でも最高峰のひとつであることは間違いない。現在のところ、1番人気はキタサンブラック、2番人気はゴールドアクターと順当な線。しかし、日経新聞・金曜夕刊でレーシングライターの須田鷹雄氏が指摘している通り、この本命・対抗にとってはチャレンジングなデータがある。

日本調教馬が強くなってからは、天皇賞・秋や菊花賞などから転戦した「前回G1組」が上位馬のほとんどを占めてきた。そのため、日本調教馬で前回、G2を走った馬が馬券に絡んだケースは数えるほどしかない。
(日経新聞「須田鷹雄のG1解剖学」)

左上:オールカマーを勝ったゴールドアクター  右上:京都大賞典を勝ったキタサンブラック

過去10年では前走でG1を使った馬の成績が圧倒的である。そのデータを重視して、僕が◎を打つのは名手ムーアが騎乗するリアルスティール。天皇賞の走りからすれば確信度は高い。対抗は三歳馬ながら能力の高さを買ってディーマジェスティ。△は同じく三歳のレインボーライン。前走菊花賞では後方から一気の末脚で他馬をごぼう抜き。ディーマジェスティも競り落として2着に入った。騎乗はルメールで本来なら対抗はレインボーラインのほうだろうが、ステイゴールド産駒の適正距離がつかめないことから評価を下げた。

穴的な馬券でルージュバックの復活に賭けたかったが、意外に人気が高いのが誤算だ。買い方を考える必要がある。この4頭で連勝複式(馬連)の馬券を買う。3連単は買わないのかって?絶対に買わない。絶対に当たらないからである。宝くじを買わないのと同じ理由だ。どんなにオッズが高くても、確率が低すぎるので期待値がマイナスになる。ギャンブルの定義からして、どういう買い方をしても期待値はマイナスだが、それにしても相当割の悪い賭けになるからだ。

ちなみに18頭立ての3連単が当たる確率は、4896分の1=0.02%。今回のジャパンカップは17頭立てだから、若干確率が高まるがそれでも4080分の1=0.025%でほとんど変わらない。

競馬で3連単を買うくらいなら米国株を買った方がよほど良い。3連単どころか、4連単さえ期待できるからだ。

米国株は「トランプラリー」が続いている。先週末の金曜日は、ダウ平均、S&P500、ラッセル2000が続伸し、ナスダック総合も反発、4指数ともに再び史上最高値を更新した。これでは「トライフェクタ」ならぬ「スーパーフェクタ」だ。「トライフェクタ」とは競馬で1、2、3着を当てるいわゆる「3連単」。そこから株式用語ではダウ平均、S&P500、ナスダック総合の3指数がそろって高値を更新することを指す。「スーパーフェクタ」は「4連単」。主要3指数に加えて小型株指数のラッセル2000も最高値を同時に更新した。実は、4指数の最高値更新そろい踏みは既に先週月曜日に達成していた。1999年12月末以来17年ぶりの記録である。米紙USA TODAY はそれを「スーパーフェクタ」と報じた。

いつか日本の競馬でも4連単「スーパーフェクタ」が導入されるだろうか。常識的に考えれば日本のような多頭数立ての競馬で導入されることはないと思う。18頭立てのレースで4連単「スーパーフェクタ」が当たる確率は、18×17×16×15=73,440分の1=0.0014%、ほぼゼロである。

当たる可能性はゼロだが、しかし、導入される可能性はゼロではない。なぜなら、日本の国民の多くはギャンブル好きか、確率計算ができないか、もしくはその両方であるからだ。先週木曜日、東京で54年ぶりに11月に雪が降った。その日、1等・前後賞合わせて10億円が当たる年末ジャンボ宝くじが発売され、雪の中、多くの人が並んだというニュースが報じられた。

60代の購入者は「北海道から来ました。こっち(東京)が雪になるとは思ってなかったですね」また50代の購入者は「6時ちょっと前から並んでる。(年末ジャンボに)かけてますからね」
Yahoo! ニュース
午前5時半から並んでいる町田市の無職の男性(77)は「雪に備えて新宿区の実家に前日から泊まった。10億円で別荘を買い、海外旅行にも行きたい」と話していた。
読売新聞

こういうニュースを見ると暗澹たる気分になり悲しくなる。アメリカ株を買ったらどうか、とは勧めないまでも、せめてジャパンカップのほうがまだましと言いたくなるが、お節介というものだろうか。



広木 隆
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