Dance with Market

カリフォルニアの青い空

by 広木 隆

今日の日経新聞夕刊でキャスターの国谷裕子さんが書いているコラムを読んだ。「トランプ氏をアメリカの次期大統領に選んだアメリカに行った」と述べておられた。

僕も同じ時期に同じ都市を訪れた。トランプ氏が大統領選挙に勝利したちょうど1週間後にサンフランシスコに行った。冬の足音が聞こえるとは言え、カリフォルニアの青空を満喫した。

国谷さんのコラムから引用する。

当選後すぐ、新政権の枢要ポストに白人至上主義者ではと懸念される人物を任命したことでトランプ政権への不安の声があちこちで聞かれた。サンフランシスコ周辺にある2つの日本人町を訪れた。そこで案内してくれた人から、早くも日系人に向けられるヘイトスピーチが増えてきている、ヘイトクライムなどの被害も心配だと聞き衝撃を受けた。日系アメリカ人は第2次世界大戦中、苦労して築いた地位や財産のほとんどを失い、強制収容所に入れられた経験を持っているだけに、アメリカ社会の空気の変化に敏感であるのは当然のことだ。
(日経新聞「明日への話題」時計の針を戻させない)

僕は国谷さんと同じ時期に、同じ都市を訪れながら、しかし、恥ずかしながらまったく「アメリカ社会の空気の変化」を感じ取ることはできなかった。社会派キャスターと、金融市場を相手にするストラテジストとでは、こうも「感度」に差があるものなのか、と思った。

トランプのアメリカ - もちろん、それは未知の世界、不確実性が非常に高い世界であり、明るい展望も期待できる反面、不安や危惧も多い。しかし、今回の米国出張で得たものは、「不安」より「希望」のほうが勝っているという感覚であった。

それはあくまで、株式市場や経済、景気といった観点からの話であり、国谷さんが懸念する社会的な変化にはもっと敏感であるべきだと彼女のエッセイを読んで改めてそう思った。

今回のトランプ大統領の誕生劇は、米国社会が劇的に変節していることの象徴である。前段の通り、危惧し緊張感や問題意識を常に持ち続けたいが、その一方で未来に対する希望も捨てるべきではない。

夢を追うベンチャー起業家がサンフランシスコ近郊、ベイエリアには、ごまんといる。それを支援しようというベンチャーキャピタリストやエンジェル投資家もまた、ごまんといる。米国は、とくに西海岸は、そういうエコシステム(生態系)が出来上がっているのだ。

日本人が多いベイエリアの街、サンマテオにて。共同オフィスの受け付けは、「テスラ」。

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