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2017年為替相場(ドル円)予測

by 広木 隆

今朝出演した日経CNBC「朝エクスプレス」で、来年のドル円相場は1ドル130円までいくだろうと述べた。

不確実なことだらけの金融市場で、来年、非常に確信度が高いのは米国金利が上昇するというシナリオだ。いうまでもなくトランプ新政権の政策期待が金利上昇の圧力を高めるからである。政策が実行され実態経済に効果が現れるのは当分先になるだろうが、政策の中身が徐々に明らかになるにつれ、その期待だけで長期金利は上昇するだろう。FOMCのドット・チャートが示唆する来年の利上げは75 bps。長期金利の上昇幅が政策金利とパラレルということはないだろうから、最低でも1%は上がるだろう。

NY連銀のタームストラクチャー・モデルで米国の10年債利回りを短期金利の期待部分とターム・プレミアムに分解すると、すでにターム・プレミアムは下がるだけ下がり、これ以上金利上昇圧力を受け止めるバッファーとして機能する余地がないことがわかる(下記グラフ)。

重要な点は、実質ベースで金利が上がるということだ。トランプ次期大統領誕生前の10月末と現在との比較では米国10年債利回りは 1.8255⇒2.5560% へと73 bps上昇している。

それに対して10年のブレークイーブン(*)は 1.7309 ⇒2.0154% とわずか28 bps上昇したに過ぎない。

(*)ブレークイーブン・インフレ率:インフレ連動債と普通の国債の利回りの差。市場が織り込むインフレ期待の指標とされる。

仮に、来年毎月0.1%ずつ米国金利が上昇し、ブレークイーブンはその半分の0.05%上昇するとすると、1年後には米国の実質金利は0.6%上昇して現在の0.55%から1.15%となる。

一方、日本はYCC継続で10年債利回りは高めに見積もっても10 bpsがせいぜいだろう。日本のブレークイーブンはあてにならないが一応市場のインフレ期待として使うと現在0.6%。すなわち日本の実質金利はマイナス0.5%であり、この先も変わらないと仮定すると、日米の実質金利差は1.65%程度に拡大するだろう。

その場合、ドル円は(目のこで)125円程度になるだろう(下のグラフご参照)。

米国の名目金利が想定以上に上昇する、または米国のインフレ期待が想定ほど高まらない、といったケースは米国の実質金利がもっと上昇する。日米の実質金利差が2%となれば、上のグラフが示唆するドル円相場の水準は1ドル130円である。

例えば、米国長期金利が4%、ブレークイーブンが2.5%、日本の実質金利がマイナス0.5%のまま変わらない、すなわち実質金利差が2% - こういう状況になれば、1ドル130円になってもおかしくはない。じゅうぶん蓋然性の高いシナリオだと考える。

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広木 隆
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