LOG IN

オフラインとミレニアル世代

by 広木 隆

@ichiyanakamura: 音楽はバーチャル消費=レコード、CD、ネットよりも、リアル体験=ライブの成長が著しい。これは特にネットが普及した後の状況で、リアル価値の高まりは明らかだが、なぜかはよくわかっていません。

先日、TLに流れてきたこのツイートに対して僕は、「ミレニアル世代の価値観が反映された結果では?」と書いたが、「?」と疑問符をつけたぐらいだから、自分でもこれでは答えになっていないと感じていた。

「ミレニアル世代の価値観が反映された」から「リアル価値が高まった」という因果関係ではない。「ミレニアル世代の価値観」=「リアル価値の高さ」だから、同じことを言っているに過ぎないのである。

そんな折、『週刊ダイヤモンド』が手元に届いた。来年の株価予想を出したプロ10人の中では僕の予想が一番高かった。

「2017総予測」という特集をぱらぱらとページを繰っていくと、映画『君の名は。』のプロデュース等で知られる川村元気氏のインタビュー記事が目に止まった。

2010年代は、いろいろなものがインターネットに「収納」されていった年代だと思います。例えば、フェイスブックはオフラインにあった人間社会を、オンラインの世界に収めていきました。アマゾン・ドットコムは買い物を収めていきました。
こうしたサービスを皆が便利だと感じ、何より面白いと思ったからこそ、そこに向かった。ですが、それが、当たり前になってしまい、あまり面白くない場所になったのではないでしょうか。

今、振り子が戻るように「オフライン化」が進んでいるように思います。そもそも、映画館に行くというのは、オフラインの行為でしょう。スマートフォンで見られる作品を、わざわざ1800円支払って、他人と並んで座って見るのですから。

音楽のライブや(アニメの舞台となった土地を巡る)「聖地巡礼」がはやっている背景にも、同じことがあるのかもしれません。 デジタルからアナログに戻るというわけではありません。がむしゃらに恋愛したり、釣りに行ったりと、誰かと具体的に現実の場所で行うことが面白い。17年からはそんな「オフライン化」がより進んでいく気がしています。
『週刊ダイヤモンド』「君の名は。」ヒットで感じたオフライン化がより進む年に

川村氏のインタビュー記事を読んで、冒頭の答えがわかった気がした。

ミレニアル世代とは、生まれた時からネットにつながっているのが当たり前の世代。川村氏が云うように「面白いからそこに向かって、それが当たり前になったから面白くなくなった」のではない。彼らの世代にとっては、はじめから「オンライン」が当たり前、「オフライン」が新鮮なのである。

音楽消費の中核に - いつの世も大衆音楽のコア・リスナーは若い世代である - ミレニアル世代がなってくれば、彼らは斬新なものを求める。それがオフライン、すなわちライブであり、リアル体験なのである。

「オフライン」が流行る文脈には二つの意味がある。ミレニアル世代にとっては「新鮮だから」。オールド世代にとっては昔ながらの世界に回帰した懐かしさのようなもの。ミレニアル世代は当然、上のジェネレーションからのDNAを引き継いでいる。彼らにとって「新鮮」に感じる「リアル」は、遺伝子が「デジャヴ」を見せているのかもしれない。

LINE it!

広木 隆
OTHER SNAPS