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日銀金融政策決定会合 2つのサプライズ

by 広木 隆

1週間余り前のレポートで、僕はこう述べた。

日銀の金融政策決定会合でよほどの「サプライズ」が出ない限り、そこでラリーは終わりとなるだろう。「サプライズ」は予想できないから「サプライズ」なのであって、果たしてどんな「サプライズ」があるか予見不能だ。だが、おそらく、「サプライズ」はないだろう。日銀が追加緩和に動いても市場の予想の範囲内の手段に留まるなら、材料出尽くしで円高株安になるだろう。日銀の金融政策決定会合の結果を見極めてから、落とすことのできるポジションは一旦、手仕舞って、夏休みをとることをお勧めしたい。
7月21日「相場の地合い改善 - 見た目の悪さに振り回されなくなってきた」

ほぼ想定通りの結果となったが、「想定外」-すなわち「サプライズ」があった。ここまで「酷い手」を打つとは予想していなかった。国債買い入れの増額もマイナス金利の深堀りも見送って、ETF買取の増額のみ。これではまるで「財政ファイナンス」の誹りやさらに言えば「疑似ヘリマネ」と見なされるを嫌い、金融業界からの一段の批判にも恐れをなした及び腰の決定に映る。

言い回しや伝え方が難しいが、ご理解いただけるだろうか。今回の決定会合で日銀に求められたのは、「量的質的緩和」や「マイナス金利」といった「政策そのもの」ではない。いまさら「量」を増やしたって、あるいは金利をいくら下げたって、効果がないのは周知の通りだ。しかし、それでも日銀はやれることはなんでもやる、将来的にはもっと過激な政策にも踏み込むことがあり得るという「ファイティング・ポーズ」を見せて、政策の手詰まり感を払拭することが必要であったのだ。

ETF買取増額のみという決定は、まさに金融政策の限界を自ら示して見せたに等しい。

ところが、ここでもうひとつの「サプライズ」があった。株式市場が下げを埋め戻しプラスに転じたことだ。無論、マイナス金利拡大がなかったことで大幅高になっている銀行株が主導したものだが、金融株の上昇だけで相場全体をプラスにもっていくことはできない。相場全体が堅調なのだ。

足元佳境を迎えつつある企業決算は想定以上に悪くない。よってバリュエーションも額面通り受け止められる(つまり高くない)。そして、よくよく考えれば、ETFの買い入れ6兆円というのは、確かに相当な資金流入額である。業績、バリュエーション、需給の面を考えれば、日銀の追加緩和が物足りないからという理由で、何もこの水準から大きく売り込むことはあり得ない。追加緩和なら急騰し、緩和見送りなら急落という反応が過剰だった。これまでの市場が日銀会合の結果に振り回され過ぎだったのだ。

もしかしたら株式市場は「日銀離れ」をしたのかもしれない。そうしたら、それは「ポジティブ・サプライズ」である。

前出のレポートの結論部分は変えるつもりはない。政策期待で上げてきた相場が終了したのは事実。ひとつのサイクルが終わったのだから、小休止でよい。

関東地方もようやく梅雨明けして、夏らしい青空が広がっている。7月の営業日も今日で終わり、来週からもう8月だ。バカンスの季節である。

日銀の政策会合があるからと休暇を過ごしていた八ヶ岳から急いで帰ってきたが、こんなことならもっと涼しい風に吹かれていればよかった。


広木 隆
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