Dance with Market

今週の相場展望

by 広木 隆

前回ブログを更新してから少し時間が空いてしまった。この間、いろいろトピックはあったはずである。でも僕にとっては、リオ五輪も、米国の雇用統計も、広島の原爆忌も、どうでもよかった。何も書こうと思わなかった。

金曜日の夜、大学時代の友人が死んだ。交通事故だった。

ひとは、あっけなく死ぬのだと改めて思った。金曜日にランチを食べながら、若い女性に「生命保険なんて入らなくていい。ひとはそう簡単に死なないから」と話したばかりだった。

ひとは死ぬ。当たり前の事実だが、僕たちの暮らしの近くに「死」は滅多にないので - 幸せなことだ - 「死」に対する実感が薄い。

ひとは当たり前のように死に、ひとの死に関係なく日は巡り、新しい週が始まる。市場は開き、また取引が始まっていく。そして僕は相場展望を書く。

今週の相場展望

先週末発表された米国雇用統計で非農業部門の雇用者数が前月比25万5千人増加となったことを受けて、米国株式市場ではダウ工業株30種平均が191ドル高と大幅反発。ナスダック総合株価指数は3日続伸し、2015年7月以来、およそ1年ぶりに過去最高値を更新した。S&P500も2週ぶりに過去最高値を更新した。

NY市場の動きを好感して週明けの東京株式市場も堅調に始まるだろう。先週、日銀がETFを707億円購入したことで、日銀のETF買いが市場の下値不安を後退させている。先週、日経平均は一時1万6000円の大台を割り込む場面があったが、それでアク抜けし、却って目先の底値が固まった感がある。今週は週を通じて日銀のETF買いが意識され底堅い展開となりそうだ。

但し、企業の決算発表もほぼ一巡し、材料出尽くしで例年であればそろそろ夏枯れ相場となる時期だ。下値も固いが上値を買うには材料と市場エネルギーを欠き、1万6000円台半ばでの膠着相場を予想する。

注目点① 相場の歪み

土曜日の日経新聞でも報じられていたが、日経平均とTOPIXの比率であるNT倍率が急拡大し、5日は12.69倍と2年8カ月ぶりの高水準をつけた。今月に入ってから上昇ペースに弾みがついているのは、日銀のETF買いに対する思惑が背景にある。

NT倍率が拡大するというのは、日経平均への寄与度が高い値嵩株に買いが集中しているということで、それはある種の「相場の歪み」である。そういう歪みが出ると、その後の反動も大きい。前回、NT倍率が最高を記録したのは13年のクリスマス。その後、14年の年明け直後から日経平均は急落した。

NT倍率の上昇だけでなく、今の相場は結構、荒れ模様だ。指数としての水準は安定しているものの、相場の中身は大きく揺らいでいる。これまで買われたものが売られ、軟調だったものが復活している。いわゆるリターン・リバーサルの動きだ。

思えば今から9年前、パリバショックを挟む8月の8、9、10日の3日間に吹き荒れたクオンツショックでは強烈なファクターリターンの巻き戻しが起きた。アクティブ運用者には悪夢の3日間として記憶されている。奇しくも、足元ではリターン・リバーサルが強まっている。気持ちの悪さを感じる。9年前のクオンツショックとパリバショックについては別の機会に書けたら詳しく書こうと思う。

注目点② 山の日

11日は今年が初めてとなる山の日の祝日。第2木曜日に当たるため、オプションの最終売買日が水曜日に、日本の休場明けの金曜日がSQとなる。

このパターンの前回は2月の建国記念日。その時は休日を挟んだ前後の営業日はいずれも大暴落となった。当時とは相場環境がかなり違うとは言え、お盆休みが近く市場が薄商いになるなか、投機的な動きで値が荒くならないとも限らない。なにしろ「初物」だけに注意したほうが無難である。

オリンピックに続いて甲子園の高校野球も開幕した。窓の外は炎天下、夏真っ盛りである。この暑いなか、妻と娘は横浜バレエフェスティバルを観に行くという。ご苦労なことだが、おかげで夜は僕ひとりで好きなものを食べ、好きなように飲めるのでありがたい。そう言えば、亡くなった友人の下の女の子も、娘と同じ歳であったことを想いだした。

今夜は好きなものを食べ、好きなように飲むが、苦い酒になりそうだ。

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