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年末の日経平均株価予想

by 広木 隆

今朝、出演したテレビ東京ニュースモーニングサテライトで、年末の日経平均株価の予想を1万8000円と述べた。

現在の株価、1万6800円は今期の予想EPS 1200円に対してPER 14倍の水準。年末には、予想EPSが 1200円で変わらない一方、PERが 15倍に高まる(1200×15 = 18000)というのが予想の中身である。では、その二つの前提について詳しく見てみよう。

前提1. 予想EPSは 1200円で変わらない

16年4~6月期決算を日本経済新聞社が集計したところ、4~6月期の経常利益は前年同期比17%の減益だった。円高で輸出企業の業績下方修正が相次ぎ、国内消費の低迷で小売りやサービスも減益となった。しかし、経常利益の通期予想は期初時点の1.7%増から0.5%減への下振れにとどまった。想定為替レートを設けている主要企業のうち4割が円高方向に見直したにもかかわらず、業績の下方修正がこの程度で収まっているのは、円高の影響を販売数量の増加や費用削減で補う企業が増加したからだ。円高に対する耐久性がついてきたと言える。

そしてその円高も、1ドル100割れが示現、目先はいいところをつけた感がある。今のドル円の水準は米国の利上げ観測をまったく織り込み切れていない。7月末の日銀政策会合の失望を引きずったまま、お盆休みで市場参加者がいない隙を突かれた投機的な円買いから回復していない。「8月の円高」という季節要因が影響している面もあろう。

しかし、季節要因はそろそろ剥落することに加えて、米国の利上げ観測の高まりを受けて、高水準に膨らんだ円買いポジションをこのままにしておくリスクも意識される。昨日のNY市場では、特段の材料がなかったにもかかわらず一時103円台をつけた(フィッシャー副議長のインタビューに新味はないので、材料になったとは思えない)。織り込んでこなかった「早期利上げの可能性」をキャッチアップに動き始めたように見える。このギャップを修正する動きはしばらく続くだろう。105~107円までの戻りはじゅうぶんある。その水準は、企業が円高に見直した想定為替レートに一致する。こうした点を踏まえれば、少なくとも、年内に業績の下方修正が起こる可能性は少ない。よって日経平均の予想EPSは 1200円を維持するのが妥当な仮定だと考える。

前提2.  PERが上昇する

PER は割引率の逆数で、割引率はリスクフリー金利とリスクプレミアムからなる。金利がこれだけ低い(分母の割引率が小さい)のだからPERはもっと高くなるのが理屈。それにもかかわらずPERが低いのはリスクプレミアムが高いということ。だから、リスクプレミアムが低下すればPERは上がる。

リスクプレミアムが低下するには、当たり前だがリスク要因がなくなることだ。相場において「リスク」とは「わからないこと」だから、不透明要因がなくなれば「リスク」はなくなる。この先、最大の不透明要因は何か?日米の金融政策、そして大統領選である。そしてこれらの不透明要因は時間の経過によって消滅する。結果はともかく、「わからなかった」ことが「わかる」のである。投資の世界の「リスク」が減るには間違いない。それを反映してリスクプレミアムは低下するだろう。

日銀は、ETF購入の狙いを「リスクプレミアムを押し下げるため」と説明している。言葉を変えれば、「PERを上げる」と言っているのに等しい。この点からもリスクプレミアムが下がって、PERは上昇すると考えられる。相場格言では「政策に売りなし」である。

異常な低金利のなか、中央銀行自らリスクプレミアムを下げると宣言して巨額の資金を株式市場に投じる。これでPERが上がらないとするほうが無理がある。PERが上昇するとは言え、過去平均並みの15倍に戻るという仮定である。1万8000円でも保守的な見通しではないか。



広木 隆
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