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今週の相場展望

by 広木 隆

10年ぶりに鹿児島に行った。天気も良く、宿泊した城山観光ホテルの展望風呂で桜島を眺めながら温泉につかった後、市内一の繁華街、天文館に出かけた。きびなごや薩摩地鶏の刺身などを堪能し、仲間たちとおおいに飲んで歌って、鹿児島の夜を満喫した。

僕がそんな能天気な過ごし方をしていた時、NY市場は大変なことになっていた。先週末金曜日のNYダウ平均は前日比394ドル(2.1%)の急落となり約2カ月ぶりの安値となった。ハト派として知られるボストン地区連銀のローゼングレン総裁が利上げを待ち過ぎることのリスクが高まっていると発言したことがきっかけとされるが、日米欧の金融政策を巡る不透明感から主要国の長期金利が上昇していたことも背景と指摘される。

確かに金利上昇は株安の要因だが、日経新聞の記事にあった「日米欧の長期金利上昇で、世界的にリスク回避ムードが高まっている」という解説には首をひねる。これまでリスク回避で買われてきたのは安全資産とされる国債ではなかったか。リスク回避で買われる資産の代表である金はどうか。ニューヨーク金先物相場は3日続落である。別にリスクオフにはなっていない。

結局、米国の利上げ観測の高まりを受けて買われたのはドルだけだ。NY市場でドル円相場は一時103円台をつける場面があった。米国株が大幅安となったことで、リスク回避の円高で押し戻されて102円65~75銭で取引を終えた。

先週末のNY市場の急落を受けて、週明けの東京株式市場も売り先行で始まるのは避けらないだろう。しかし、単純に見れば米国の利上げ観測の高まりを受けた米国金利上昇とドル高円安の流れが鮮明だ。これは日本株にとって好材料だから、狼狽売りが一巡した後は冷静さを取り戻し下げ渋る動きも見られるのではないか。

日本株式市場は日銀のETF買い期待という支えがあることに加えて、バリュエーション面の割安さもあるが、北朝鮮の核実験で改めて東アジアの地政学リスクが意識され日本株への押し目買いが抑制されるかもしれないのは気懸りな点である。

もうひとつのリスクは米国株が一段安となること。昨年のチャイナショックの暴落はレアケースだとしても、このところの米国株は、一度大きな陰線を引くと、すぐに反転することはなく、大きな下げが続く傾向がある。百聞は一見に如かず、チャートでご確認いただきたい。

史上最高値圏にあった米国株が、金利上昇を受けてバリュエーションを低下させるのは理に適う。一方、マイナス金利にもかかわらず、一向にバリュエーションが高まらない日本株が、米国株の下げにまともに連れ安するのは間尺に合わない。しかし、相場は理屈ではない。週明け、売り先行で始まるのは避けられないとして、どこでどれだけ下げ渋るかがポイントである。

シカゴCMEや夜間取引の日経平均先物は16600円台半ばで終えているが、その水準まで売られると8月31日に開けたマド埋め(16752円)完了となる。16700円台にある25日線絡みの水準で踏みとどまって、その後、週を通じて再度17000円大台回復を伺う展開となれば上出来か。

いずれにせよ翌週に日米の金融政策を巡る大イベントを控えて、神経質ながら方向感に乏しい一週間となりそうだ。

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広木 隆
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