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3・15をどう乗り切るか

by 広木 隆

今朝、テレビ東京のニュースモーニングサテライトに出演した。重要イベントが目白押しの3月15日を投資家がどう乗り切ればいいのか。JPモルガンチェース銀行の佐々木融さんとスタジオ解説をおこなった。詳細は番組のHPにアップされている動画で確認してほしい。

重要な点は、起こりそうな(最も実現可能性の高い)シナリオを予想してそれに賭けるのではない、ということである。それでは起こり得るシナリオの一部しか考慮していない。他のシナリオを切り捨てている。「丁の目に張る」「サトノダイアモンドの単勝一点買い」と同じ、つまり、博奕である。最も起こりそうなシナリオを予想してそれに賭けることと、相場の張り方は違うということだ。

FOMCでは、ドットチャートに変化はあっても、中央値が示唆する今年の利上げ回数は3回にとどまる。これがメインシナリオだろう。4回の利上げを見込む向きも増えているが、コンセンサスを形成するには至っていない。確率を付与すれば6:4程度となるのではないか。6割の確率で利上げは年3回のまま。4割の確率で年4回に利上げペースが速まる。

メインシナリオ通りなら失望売りが出かねない。しかし、そもそも期待が高くない。ドル円は114円台のままである。だから失望売りも限定的だろう。一方、4割の低い確率のサブシナリオが実現したら、市場がそのシナリオをじゅうぶん織り込めていないだけに大幅な円安となり、株価も上昇するだろう。日経平均は2万円付近まで吹き上がるかもしれない。

そう考えれば、メインシナリオが実現してもダウンサイドは限定的(例えば50円安程度)で、サブシナリオが実現すれば大幅なアップサイド(例えば400円高して2万円到達)がある。確率×リターンで期待値を合計すれば、「今回のFOMCというイベントの期待値」はプラス(60%×▲50+40%×400=130)である。

オランダの議会選はその逆である。直前の世論調査で自由党の支持率が下がり市場では警戒感が若干後退している。議席を伸ばしたとしても連立を組めないので政権を獲るには至らないという見方も楽観ムードの背景にある。しかしこれはBREXITと同じパターン。世論調査はあてにならないと学んだはずである。こういう状況で自由党が大きく議席を伸ばせば、連立政権が組めるとか組めないとか関係なくパニック売りが広がる可能性がある。フランスの大統領選への思惑につながるからだ。自由党勝利の確率は低いけど、それが起きた時の市場の反応は大きくマイナス、その逆のケースでは相場はほぼ横バイだろう。よってオランダ議会選の期待値はマイナスである。

もうひとつの重要なポイントは、ここで言う確率は「真の確率」ではない、ということだ。サイコロの出目やコイントスの場合、真の確率が分かっている。天気予報の降水確率はデータに基づく分、精度が高い。しかし、ここで挙げた、6:4で利上げ3回、とか6:4で自由党が第一党にならない、という確率は、主観確率 - すなわち市場が見ている「あてずっぽう」の確率である。そこにはバイアスや歪みがある。それを獲りにいこうという戦略だが、あくまでも、このイベントに賭ける超短期のトレーディング用のものであると番組では述べた。実際にどれくらいの方が参考にしてくれただろうか。

ちなみにここで述べた「『期待値』がプラスのものに賭ける」というアイデアは、2月28日付けブログ「トランプ演説 -ベット(賭け)の仕方」で述べたのとまったく同じ発想である。トランプ演説に賭けたら、結果は正解だった。今度は果たしてどうだろう。明日の結果が楽しみである。



広木 隆
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