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なぜ不動産株が買われるのか

by 広木 隆

本日の東京株式市場で日経平均は5日ぶりに反発し、前週末比19円高の1万8355円で終えた。大引けこそ小幅反発で終ったが、取引時間中には一時、年初来安値の1万8224円まで売られる場面があった。東証1部の売買代金は1兆6337億円と昨年末以来、約3カ月半ぶりの低水準だった。欧米投資家の一部はまだイースター休暇から戻っておらず、閑散商状だった。

そんななか、資金は中小型株や新興市場に向かっている。東証一部の主力株ではどうかと言えば、以下の通り。為替動向に左右されない内需ディフェンシブ株が物色されている。新年度入りしてから日経平均は下げ続けているが、不動産、陸運、小売り、食品などは逆行高している。小幅にマイナスだが、建設や医薬品もパフォーマンス上位に並ぶ。こうした顔ぶれを見ると、教科書通りに内需ディフェンシブ株が買われていると見える。

月初来パフォーマンスのトップは不動産株である。確かに東京都心5区のオフィスビルの空室率は2008年7月以来の低水準となる3.6%と市況は堅調だ。リスク回避で資金が国債市場に逃避、円金利も低下している。新発10年物国債利回りはついに0.01%を割り込んだ。業種別パフォーマンス2位の陸運は電鉄株のパフォーマンスが貢献している。電鉄も駅ビル業などがわかりやすい例だが不動産ビジネスの寄与度が大きい。保有する不動産も莫大で、準・不動産株と言える。

借入金の多い不動産株は典型的な金利敏感株の1つとされる。だが、金利の動きと逆相関かと言えば、必ずしもそうではない。今は、たまたま不動産株が買われているに過ぎない。事実、昨年度の業種別パフォーマンスを見ると、月初からの業種別パフォーマンスのそっくり真逆である。

昨年度のべスト・パフォーマーだった資源関連株が売られる一方、昨年度ワーストだった不動産が買われている。なんということはない、単なる「リターン・リバーサル」である。そして、単なる「リターン・リバーサル」減少が観察されるときは、ポジションのアンワインド(巻き戻し)が起きているときである。

つまり、足元で見られる不動産株の買いは、将来を展望して買っているというより、売った分の買い戻しの域を出ないだろう。


広木 隆
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