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今週の相場展望

by 広木 隆

先週の金曜日、僕が教える青山学院大学MBAのクラスに在籍するF氏の案内で、パシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展」に行ってきた。出展社数は562社と過去最多、来場者数も3日間で9万人を超える盛況ぶりだった。あくまでも自動車業界の第一線で活躍するエンジニアのための自動車技術展なのでモーターショーのような派手さはないが、自動車産業の「今」と「未来」がわかる素晴らしいエキシビジョンだった。

日経新聞の報道によれば、日本の乗用車大手7社の2017年度の研究開発費は前年比約7%増え過去最高の2兆8500億円になる見通し。自動車産業の研究開発費は国内企業の5分の1近くを占める。「人とくるまのテクノロジー展」に行くと、自動車産業のすそ野の広さを改めて実感できる。自動車メーカー、自動車部品メーカーだけでなく数多くの素材・部材メーカーが出展していた。化学や電子部品の企業も多い。

自動車の未来と言えば、自動運転技術が注目されて久しいが、このところ食傷気味の話題だったかもしれない。しかし、実際に展示会場で各種のデモを見ると、自動運転というのは非常に多くの技術の結晶であることがよくわかる。第4次産業革命の中核は、自動運転の実用化が担うだろう。それは、AI、IoT、ビッグデータ、すべての技術と要素が高い次元で融合してこそ実現するものであるからだ。自動車産業はこれからも我が国経済の基幹産業であり続けるだけでなく、ますます進化し、重要性が増していくだろうと思う。

さて、今週の日本株相場は日経平均1万9000円台後半でのもみ合いが継続すると思われる。下値は堅い一方、上値の2万円も近くて遠いと見られている。

今週は月末月初に当たり重要指標の発表が目白押し。米国では、30日に4月の個人消費支出、PCEコアデフレータ、31日はベージュブック(米地区連銀経済報告)、1日は5月ISM製造業景況指数、そして2日は5月雇用統計が発表される。注目点は大きくわけて2つ。ひとつはこれまで見られた弱い景気指標が一時的なソフトパッチ(景気のぬかるみ)かどうか。1-3月期は特殊要因もあったが、4-6月期の指標で持ち直しが確認できるかだ。その意味では5月ISM製造業景況指数がいつにましても注目される。4月は2ヶ月連続で低下したが、5月月は切り返せるか。もうひとつのポイントはインフレである。最近FRB高官からインフレ率の上昇が鈍い点を気に懸ける発言が続いている。PCEコアデフレータと雇用統計での平均時給の伸びが注目される。

ユーロ圏でもインフレ指標が注目される。31日に5月のCPIの発表がある。前回、ユーロ圏のコアCPIが前月の0.5%から1.2%へ急上昇、2013年9月以来の水準に達した(下のグラフ)。このインフレの高進が、ECBのテーパリング観測を強め、ユーロ高が加速する背景となった。年初来のドル安は、その大半がユーロ高の裏返しであり、ユーロ圏のインフレが高まる一方、米国のインフレが鈍いと一段のユーロ高ドル安を通じて、ドル円でもドルの上値が重くなる可能性がある。

マーケットにとって、依然として最大の不透明要因はロシアゲート疑惑がどのような進展をみせるかである。その意味で近日中に行われるコミー前FBI長官の議会証言がリスクイベントとして警戒されるだろう。

蛇足だが、タオルミーナG7サミットは、案の定、世界主要国リーダーの結束を示すどころか、何も決められない指導力の低下を露呈する結果となった。しかし、初めからG7サミットに対する市場の期待はなかったので、こういう結果になったところで、相場への影響は限られるだろう。


広木 隆
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