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21年ぶり高値と今後の株価展望

by 広木 隆

日経平均が2万1000円を超えてきた。1996年以来、21年ぶりの水準である。しかし、日本以外、米国をはじめ諸外国の株価は史上最高値圏にある。〇年ぶりとか言っているのは日本だけだ。海外市場はいまだかつてない高みに登りつめている。かたや、こちらはバブル崩壊の傷跡が残る時代に戻っただけだ。あまりにも差があり過ぎるではないか。

21年ぶりの株価に戻ったという事実をそのまま受け止めれば、この21年間、我が国の経済と企業は何をしていたのかということになる。この間、米国でもITバブル崩壊やリーマンショックといった株価の暴落局面を経験した。しかし、その度に数年でその暴落前の水準を取り戻し、再び上昇基調に回帰していっている。それが本来の株式市場の趨勢なのだ。

我が国の上場企業の業績は最高益が見込まれている。利益が最高なら株価も最高であってよい。そうなってないのは、昔の株価が高過ぎたからにほかならない。

1996年度の東証1部の時価総額は約300兆円だった。今は600兆円を超えているから倍以上になった。この間、上場企業の数も増えた。96年当時、東証1部の上場企業数は約1300社。今は2030社だから5割以上増えた。確かに「東京市場」は大きくなった。しかし、東証株価指数(TOPIX)の水準が96年当時と比較してたいして変わっていないことから明らかなように、株価は上昇していない。TOPIXは時価総額をベースにした指数だが、増資などがあった場合、基準時価総額を調整することで株価の変化だけを追う構造になっている。

一方、利益はどうか。今年度の予想業績を96年度と比較すると、経常利益は3.6倍に、純利益は6倍に増える見込みである。利益が何倍にも増えて、株価が当時と変わらないというのは、当時のバリュエーションが滅茶苦茶だったということである。80年代後半のバブル時代には、PERのようなバリュエーションはまったく機能しなかった。だが、バブルが崩れた後、90年代もまだ不良債権処理などの減損が続き、最終利益は低迷し続けた。それに比べて株価の調整がじゅうぶんではなかったため、株価尺度としてほとんど意味をなさないようなバリュエーションが続いたのである。

過去を嘆いてもしかたない。このブログで書いたように、実は日本株はすでにバブルの清算を終えて極めてフェアな(妥当な)株価と利益の関係になっている。下のグラフからも、2010年ごろから利益の伸びに沿って時価総額が拡大しているのが見て取れる。それ以前、特に1990年代は利益水準と時価総額が乖離している。

昭和末期のバブルが起きる前、80年代前半の東証1部時価総額は、東証1部上場企業の経常利益の約10倍だった。つまり経常利益ベースのPER10倍ということである。今は概ねその水準に戻っている。ここからは利益の伸びに沿って株価が上昇していくだろう。非常にクリアな株価形成メカニズムが機能する市場になったと言える。

足元の動きについて、日経平均2万1000円をトリガーとするリンク債のヘッジ外しやコールオプションの売りに対する先物の買いヘッジなど、需給が主な要因だという論調が一部にある。こうした「需給」というのは「結果」であって、「要因」ではない、というのが僕の持論である。

シンプルな話、ではまたこの水準からショートが振れるか?衆院選での与党勝利の観測、それに続く4-9月期決算で業績上方修正の可能性、米国ではFRB議長人事、税制改革への期待、12月利上げ観測。こうした株高・円安・リスクオン材料が年末まで続く環境ではまた担がれて踏まされるのがオチだろう。売り方不利で売りがしぼむ。結果として上値は重くならないはずだ。

従前から述べている「日経平均の年末予想値:2万2000円」の蓋然性が高まった。いや、もっと上振れする可能性も出てきたように思う。


広木 隆
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