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2019年 マーケット展望

by 広木 隆

年明けもしばらく不安定な相場が続く。ヤマ場は2月末に期限がくる米中の貿易協議。物別れに終われば追加関税が発動される。3月には英国のEU離脱期限。合意なき離脱、いわゆるハードBREXITとなるリスクもあり、この問題の行方を巡って市場の警戒感は高いままだろう。

だが、これらの問題は、いずれどういう形であろうと決着する。春以降、相場は上昇基調に回帰するだろう。その理由は今年マーケットを揺らした悪材料が来年は軽くなるからだ。

まず今年の下げの最大の要因は米国の保護主義が強まったこと、特に中国との対立が先鋭化したことだ。これが「出てきたこと」で市場の不安心理が高まった。米中対立は長期化するかもしれないが、問題としてはもう「出てしまった」。つまり市場がすでに反応済みの問題だということ。例えば貿易戦争も関税をすべてにかけてしまえばこれ以上悪いシナリオはないのだから材料出尽くしとなるだろう。

もうひとつは米国の利上げ。金利上昇が株安の引き金だったが、これも来年はより一層、利上げ打ち止め感が強まる。

そして、来年は大統領選の前年でトランプ大統領は再選に向けてなんとか株価をあげたいはず。1950年以降、大統領選の前年にNYダウは必ず大きく上昇してきた。前回、2015年にそれは崩れてしまったがわずか2%程度下がっただけ。基本的には大統領選の前年には積極的な政策などが打たれて株が上がりやすい。トランプ政権にとっての最大の株価対策は、過激な言動を慎むことだ。選挙を意識して、来年はトランプ大統領の発言はよりマーケット・フレンドリーなものになるだろう。

トランプ米大統領は29日、中国の習近平国家主席と長時間の電話会談を行い、交渉が「大きな進展」をみせているとツイッターに投稿したが、これなども年末の株価を上げたいリップサービスだろう。

日本も同様で参院選勝利のために景気対策が大々的に打たれる。消費税2%あげるのに5%ポイント還元は実質減税だ。

中国も景気対策をあれこれやっているので来年には効果が見えてくるだろう。引き締めから緩和策に転換したことが大きなポイントだ。

先進国の景気は2017年末をピークに循環的な減速局面入りしていた。その背景は在庫調整や中国のディレバレッジ政策などだが、サイクル的に来年前半で底打ち反転に向かうだろう。下記のグラフはOECD景気先行指数と日本の景気動向指数(一致)である。OECD景気先行指数に先行性はないので、ほとんど一致指数だ。当たり前だが、世界景気の循環に合わせて我が国の景気も動いていることが見て取れる。ほぼ3年の循環(在庫サイクル=キチン・サイクル=40ヶ月)で、2016年半ばから1年半上昇、2017末から1年下降で、長くてもあと半年で底が入るだろう。

こうしたことから来年の景気はしっかりで、世界景気の失速懸念を織り込んで下がった今年の悲観論が修正される。

特に日本株は景気動向指数に一致した動きをする(下記グラフ参照)ので、世界景気回復→日本景気回復なら日本株も上昇するという極めてシンプルなストーリーだ。ちなみにこれは2012年末、アベノミクス相場のスタート時期とまったく同じだ。当時はアベノミクスで株高になったようなことが言われたが、実際にはグローバル景気の改善に乗った面が大きい。

今年、日本株の下げを主導したのが、海外投資家の巨額の売り。現物株を5.6兆円売り越した。売越額は87年以来31年ぶりの大きさだ。現物と先物を合わせると海外投資家の売越額は13兆円に達する。つまり、売るだけ売ってしまったので、これからはもう売るものがない。売り圧力は自然と軽減する。逆に大きな買い戻しの潜在要因だ。前述した悲観論の修正が起き、売るだけ売った海外投資家の買い戻しで大きな上昇になるだろう。

相場は、楽観と悲観の間を揺れ動く振り子の動きで説明できるとハワード・マークスは言う。今は悲観に振り切れている。来年は反対方向に揺り戻されるだろう。ジャイアント・スィングバックだ。市場は短期的に正の系列相関、すなわちモメンタムが有効だが、中長期的にはリバーサルが認められる。来年はリバーサルが有効になり、今年下げたものが買い戻されるだろう。工作機械受注の底打ち反転などから機械セクターが有望と考える。

最後に、先日アップしたストラテジー・レポートの文章を引用して、今年最後のエントリーとしたい。

平成相場は強欲から恐怖へ、楽観から悲観へと振れた30年だったと総括した。日経平均が3万8915円の史上最高値をつけた平成元年末を別な言葉で表現すれば、「陶酔のうちに消えていった」と言えるだろう。この言葉は伝説のファンドマネージャー、ジョン・テンプルトンのものである。ご存じの通り、この言葉は、「本当の強気相場は悲観の中に生まれる」と始まる。「本当の強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観とともに成熟し、陶酔のうちに消えていく」 これが相場のサイクルである。悲観に満ちあふれた今はサイクルのどこに位置するのか。それを見極めることが重要とのハワード・マークス氏の言葉をもう一度胸に刻みたい。

平成の30年が終わろうとしている。陶酔から悲観へ。平成30年の終わりに、実は本当の強気相場が生まれ、平成の次の、新しい時代へとつながっていくのだろう。そう信じてやまない2018年の年の瀬である。

引用元:ストラテジー・レポート

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